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研究と報告
性欲過多(satyriasis)の1例
著者: 小林聡幸1 加藤敏1
所属機関: 1自治医科大学精神医学教室
ページ範囲:P.885 - P.890
文献購入ページに移動【抄録】 性欲過多(satyriasis)を主訴に受診した症例を報告した。生活歴を詳細に問診していくと,職場適応の悪化とともに種々の異常な行為があることが判明し,知能検査で軽度精神遅滞と診断されたが,器質的な要因は認められなかった。症例は初診時29歳の男性で,22歳頃から性欲亢進と,幼児用品を買ってしまうという行為を呈するようになった。28歳で結婚したのを機に歯止めが利かなくなり,日に何回も妻に性交を求めるために1年ほどで離婚に至った。自ら性欲亢進を悩んで受診した。性欲過多に対しては抗精神病薬が奏効したが,幼児用品を買う行為は持続している。精神遅滞ゆえに頓挫した性倒錯の1形態と考えられた。
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