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「Evidence-Based Psychiatryの視点から見た初期分裂病」(加藤忠史:本誌42:983-989,2000)における‘奇妙な批判’—問題発見的研究 VS. 問題解決的研究
著者: 中安信夫1
所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科精神医学分野
ページ範囲:P.905 - P.911
文献購入ページに移動 加藤忠史氏により本誌に試論として表題にあげた論文が掲載された。小生がこの10年来提唱してきた初期分裂病をEvidence-Based Psychiatry(EBP)の視点・考え方から論じられたもので,今後の研究にとって傾聴すべき有益な意見も散見されるものの,小生の初期分裂病論に対する‘奇妙な批判’にも当惑させられた。いろいろ考えるに,その‘奇妙な批判’はどうやら加藤氏には問題発見的(ないし問題提起的)研究と問題解決的研究の違いがわかっていないことからくるのではないかと思い至った。よって,こうした観点から‘奇妙な批判’に反論を加えるが,紙数の都合上,それらのうち小生の初期分裂病論において最も肝要な「初期症状の特異性」と「臨床単位としての初期分裂病」をめぐっての批判のみを取り上げることにした。
反論に先立って問題発見的研究と問題解決的研究という用語について解説を与えておくが,かつて小生10)が「虚飾と徒花―<精神病理学vs.生物学的精神医学>に寄せて」という論文で引用したことのある,神経内科医の岩田誠氏3)の文章がそれを的確に語っていると思われる。小生の論文から引用する。
反論に先立って問題発見的研究と問題解決的研究という用語について解説を与えておくが,かつて小生10)が「虚飾と徒花―<精神病理学vs.生物学的精神医学>に寄せて」という論文で引用したことのある,神経内科医の岩田誠氏3)の文章がそれを的確に語っていると思われる。小生の論文から引用する。
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