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文献詳細

雑誌文献

精神医学43巻8号

2001年08月発行

「精神医学」への手紙

向精神薬と心電図QTc時間延長もしくはTorsades de pointesについて

著者: 定永恒明1 定永史予2 八尾博史2

所属機関: 1九州大学大学院病態機能内科学 2国立肥前療養所内科

ページ範囲:P.921 - P.921

文献概要

 Torsades de pointesとはQRS波が螺旋状に極性を次々と変えていく多形性心室頻拍である。通常数拍〜十数拍続いて自然停止するが,時として心室細動へと移行し突然死を来すこともある危険な不整脈である。心電図ではQT延長を伴って出現することが多い。その原因として遺伝性QT延長症候群以外には薬剤の副作用が多い。薬剤では抗不整脈薬の副作用による場合が最も多いが,抗生物質,抗真菌薬,向精神薬でも出現することがある。向精神薬(特に抗精神病薬,抗うつ薬)には抗不整脈薬であるキニジン様の薬理作用を有することが多く,心電図上QT延長を来すことが少なくなく,精神科領域での突然死にはQT延長を背景とした不整脈によるものが多いといわれている。通常,心拍数で補正したQTc値で440msec以上をQT延長と診断している。
 国立肥前療養所の向精神薬内服患者(平均クロルプロマジン換算量1,000mg/日)350人による検討では,約50%の患者のQTcが440msec以上であり,さらに5%の患者ではQTcは500msec以上であった。この検討では専門医がQT時間を測定したが,通常の心電図の自動解析によるQT時間測定にはかなりの誤差がみられることが多いので注意が必要である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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