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文献詳細

雑誌文献

精神医学43巻9号

2001年09月発行

研究と報告

薬物関連問題に対する問題意識の比較—司法・警察,教育,福祉と保健医療の各分野の調査から

著者: 下野正健1 古賀初子1 板井修一1 多田薫1 伊藤智美1 安高真弓1 梶畑俊雄1 真崎直子1 松本晶美1 青柳節子1

所属機関: 1福岡県精神保健福祉センター

ページ範囲:P.939 - P.950

文献概要

【抄録】 薬物依存・中毒者のアフターケアに関する地域プログラムの検討を目的として,福岡県内の司法・警察,教育,福祉と保健医療の各分野における薬物関連問題に対する(1)取り組み体制,(2)個別対応上の問題,(3)対策立案上の問題,および(4)今後の課題についてアンケート調査を行った。取り組みとしては,司法・警察と教育では「普及啓発」,福祉と保健医療では「他機関紹介」がもっとも多かった。個別対応上の問題では「複雑な家庭背景」,「再使用・再発が多い」と「薬物以外にも問題を持つ」を挙げる機関が多く,対策立案上の問題では「単独機関では対応困難」,「対応方法が未確立」,「スタッフ不足」,および「社会復帰施設不足」を指摘する機関が多かった。今後の課題としては,「啓発活動充実」,「乱用早期での介入体制の確立」,「連携の強化」,および「相互情報交換」を求める機関が多かった。
 また,各機関が指摘した問題意識の違いの大きさを比較した。その結果,分野間および対応件数別で著明な意識格差が認められた。したがって,地域プログラムとしては,まず,関係機関のネットワークを構築し,各機関が連携して対応する体制を確立する必要がある。さらに,啓発活動の充実に加えて,家族相談窓口の拡大,介入体制の確立,社会資源の整備も重要である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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