icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学43巻9号

2001年09月発行

文献概要

研究と報告

強迫性障害患者における大うつ病のcomorbidityと治療反応性への影響

著者: 松井徳造1 松永寿人1 岩崎陽子1 大矢健造1 越宗佳世1 笠井慎司1 切池信夫1

所属機関: 1大阪市立大学大学院医学研究科神経精神医学

ページ範囲:P.957 - P.962

文献購入ページに移動
【抄録】 本研究では,DSM-IVの強迫性障害(OCD)の診断基準を満たした98例(男性35例,女性63例)を対象とし,初診時に大うつ病性障害(MDD)の共存を認めるOCD患者の割合とその臨床的,治療的特異性を検討した。また薬物療法と認知行動療法とのcombined treatmentによる治療反応性を1年後に評価し,初診時のMDD共存が治療予後に及ぼす影響を検討した。
 その結果,35例(36%)に初診時MDDの共存を認め,MDDを有する群は,有さない群に比し,既婚者の割合が高率で,全体的な機能水準が有意に低レベルであった。またMDDを有する群では,女性の割合や発症年齢などが高い傾向にあった。しかしながら両群間には,強迫症状の内容や重症度,不安の程度など,他の臨床症状に差がなく,また1年後のOCDの改善率においても,両群間に有意差を認めなかった。このため,初診時にMDD共存を認める患者が,臨床的,治療的に特異的亜型を形成する可能性は乏しく,MDDの治療予後への影響は少ないものと考えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら