icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学43巻9号

2001年09月発行

文献概要

研究と報告

通電療法が著効したステロイド精神病の1例

著者: 漆原貴子1 功刀浩1 池淵恵美1 広瀬徹也1

所属機関: 1帝京大学医学部精神神経科学教室

ページ範囲:P.987 - P.993

文献購入ページに移動
【抄録】 ステロイド薬は臨床各科で必須の治療薬であり,副作用として生じる精神障害への対応が必要となる場合が少なくないが,精神医学的検討はいまだに不十分である。今回,我々は,特発性血小板減少性紫斑病(以下ITP)に対するステロイド治療中に錯乱状態となり,薬物療法は奏効しなかったが,通電療法が著効した1例を経験した。
 症例は35歳の会社員である。職場の健康診断からITPと診断され内科でステロイド治療が開始されたが,経過中2回のステロイド精神病のエピソードが出現した。1回目の多幸的気分〜躁状態のエピソードは抗精神病薬により約1週間で回復したが,2回目は抑うつ状態で始まり意識障害を混じる錯乱状態を経て無言・無動状態に至り,薬物療法は無効であった。全身状態,生命予後も悪化したため通電療法を施行したところ,精神症状の劇的な改善が認められた。本症例からステロイド精神病の治療戦略として,通電療法が重要な選択肢の1つであることが示唆された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?