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雑誌目次

論文

精神医学44巻1号

2002年01月発行

雑誌目次

巻頭言

「第12回世界精神医学会横浜大会」の成功に向けて

著者: 大熊輝雄

ページ範囲:P.6 - P.7

 「第12回世界精神医学会大会」が2002年(平成14年)8月24日から29日までの6日間,横浜で開催される。私ははからずも大会組織委員長を仰せつかっているので,約3年前から国内の多くの皆様とともに,鋭意その準備を進めている。
 世界精神医学会(World Psychiatric Association;WPA)はその名が示すように,世界各国の精神医学会の連合組織であり,現在108の構成学会(メンバーソサイエティ)と十数万人の会員数を持つ大きな組織である。その世界大会(World Congress of Psychiatry;WCP)は,第1回が1950年(昭和25年)にパリで開かれて以来,ほぼ3,4年ごとに世界各地で開催されて来ている。最近では医学関係の世界学会の中でも有数の巨大学会に発展し,1999年8月にハンブルクで開催された第11回大会には世界各国から約9,000人が参加した。

展望

プリオン病の現在

著者: 川島敏郎 ,   立石潤

ページ範囲:P.8 - P.23

プリオン病とは
 ヒトにおけるクロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzfeldt-Jakob disease;CJD),東部ニューギニアに住むフォア族に集団発生したクールー(kuru)や羊におけるスクレイピー(scrapie),牛海綿状脳症(狂牛病)(bovine spongiform encephalopathy;BSE),伝播性ミンク脳症(transmissible mink encephalopathy),シカの慢性消耗性疾患(chronic xvasting disease)などの疾患群は実験的伝播が可能で,病理学的に脳に海綿状変化がみられることから伝達性海綿状脳症(transmissible spongiform encephalopathies;TSE)と総称されてきた。
 1980年台初頭にPrusinerらは,超音波処理,界面活性剤処理,蛋白質分解酵素およびDNA分解酵素処理,分画遠心およびしょ糖濃度勾配遠心を組み合わせて,スクレイピー罹患ハムスター脳から,数千倍に精製濃縮した大量の感染分画を得ることに成功した。最も感染性の高い分画は25%から60%のしょ糖濃度分画に存在し,電子顕微鏡による観察では,2本の微細線維が平行に並び,ゆるくねじれた幅25nm,長さ100-200nmの微細杵状構造物からなっていた。さらに感染分画はほぼ単一の蛋白質からなり,その収量は感染力価に比例し,蛋白質分解酵素による消化や,フルオロリン酸ジイソプロピル,ドデシル硫酸ナトリウム,カオトロピック塩,フェノールや尿素などの蛋白質変性剤の処理により不活化された。Prusinerはこれらの結果をもとに,蛋白質が感染因子であり,一方,感染分画に核酸は証明されず,核酸分解酵素や紫外線照射,その他の化学反応によっても感染性は変わらないことから,核酸の存在は否定されるとして,蛋白質のみからなる感染因子を表す「プリオン(prion)」という新しい用語を提唱した95)

研究と報告

集団治療場面での行動観察に基づく生活類型の評価尺度(第1報)—尺度の作成と信頼性の検討

著者: 本多真 ,   熊谷直樹 ,   畑哲信 ,   宮内勝

ページ範囲:P.25 - P.32

【抄録】 生活類型(能動型・受動型)の概念は精神分裂病圏患者の援助活動の指針となるが,その具体的判別基準は存在しなかった。我々は集団治療場面での生活行動観察に基づき生活類型を判別する尺度の開発を行った。典型的な生活類型を示す東大病院精神神経科デイホスピタル(DH)終了症例の生活行動特徴の記述内容をKJ法でまとめ,予備的検討で項目を整理して,4つの下位尺度(新奇性・持続安定性・競争性・不適切性),8項目の生活類型評価尺度が作成された。本尺度を用いてDH在籍者の評価を行い,尺度の内的整合性,再検査信頼性,評価者間信頼性の検討を行った。Cronbachαが0.859,Spearmanの順位相関係数が0.831,ANOVA ICCが0.886と尺度の信頼性が確認された。

長期入院中の慢性精神分裂病患者の示す暴力行為について

著者: 鶴田聡

ページ範囲:P.33 - P.38

【抄録】 当院男子閉鎖病棟に1年以上在院中の罹病期間10年以上の慢性精神分裂病患者の暴力行為を2年間prospectiveに調査した。リストアップした79例中暴力をふるった者は28例(35.4%)。同時期に入院していた精神分裂病患者のうちリストアップした例を除く71例においては7例(9.9%)であった。ドロップアウト例を除く70例で,暴力と症状との関連を検討した。暴力をふるった者は罹病期間の短い,直前に暴力の既往のある,陽性症状の強い,陰性症状の弱い患者に多かった。また,再発などの急性の症状変化のある例に多かった。暴力の要因は,急性の症状変化を伴うものが46%,短絡衝動行為が26%,特発性が14%,残遺性の幻覚妄想によるものが9%であった。

分裂病性精神病の精神生理学的所見に基づく多変量解析—精神分裂病と非定型精神病の相違について

著者: 深津栄子 ,   深津尚史 ,   関根建夫 ,   立花憲一郎 ,   須賀英道 ,   林拓二

ページ範囲:P.39 - P.47

【抄録】 精神生理学的観点から分裂病性精神病の異種性を検討するために,満田の分類より診断した定型分裂病20例,非定型精神病23例,正常対照群23例の3群で,事象関連電位P300と横S字型図形による探索眼球運動を測定し,クラスター分析と因子分析を施行した。P300振幅および探索眼球運動の反応的探索スコアは,分裂病の素因性指標となる可能性が指摘されている。本研究の結果,定型分裂病の約半数が,反応的探索スコアの最も低い群に分布したが,P300振幅の最も低い群と一致しなかった。また,定型分裂病と正常対照群の大部分は異なる群に分布した。一方,非定型精神病は,主に高振幅のP300と不安・抑うつ症状を伴う群に分布するものの,P300の低振幅を示す群にも認められた。前者は,Leonhardの類循環精神病cycloid psychosesと対応する群なのかもしれない。

椎間板ヘルニアに合併した周期性四肢運動障害—塩酸タリペキソールの効果

著者: 浦上敬仁 ,   黒田健治 ,   江村成就 ,   佐谷誠司 ,   萬代正治 ,   吉田祥 ,   植田哲 ,   松村人志 ,   米田博

ページ範囲:P.49 - P.56

【抄録】 不眠などの睡眠障害のみられた椎間板ヘルニア患者にPSG検査を施行,周期性下肢運動障害(PLMs)が頻発していた5症例を経験した。各症例の睡眠障害にはPLMsが関与していると考え,talipexole投与を行い,睡眠障害は改善された。現在のところPLMsの病因は不明だが,脊髄疾患に伴うPLMsにおいてもドパミン作動薬のtalipexoleが有効であったことから,脊髄疾患に伴うPLMsの病因は脊髄レベルでのドパミンシステムの機能障害ではないかと考えられた。また,さまざまな身体疾患に睡眠障害が合併している場合には,睡眠障害の正確な知識を持ってリエゾンコンサルテーションサービスにあたることが重要であると思われた。

てんかん発作および精神病症状を呈した異所性灰白質の1例

著者: 北林百合之介 ,   上田英樹 ,   成本迅 ,   和田良久 ,   木下清二郎 ,   太田純 ,   中村佳永子 ,   北仁志 ,   伏木信次 ,   福居顯二

ページ範囲:P.57 - P.61

【抄録】 10代よりてんかん発作および精神病症状を呈した異所性灰白質の男性例を経験した。本例ではCT,MRIにて異所性灰白質(bilateral periventricular nodular heterotopia)が認められ,臨床的には精神発達遅滞とてんかん発作および精神病症状が特徴的であった。これまで海外においてはさまざまな臨床的,形態学的特徴を持つ異所性灰白質の症例報告が散見されるが,本邦における報告はいまだ少なく貴重な症例と考えられた。本症例では遺伝負因の関与も示唆され,今後,より詳細な病理学的,遺伝学的検索を含めた検討が必要と考えられた。

全般性不安障害にみられる高bradykinin血症について

著者: 福田克彦 ,   高橋良当 ,   山中学 ,   渡辺尚彦 ,   大川真一郎

ページ範囲:P.63 - P.68

【抄録】 不安神経症の,息苦しさ,窒息感がbradykinin(BK)と関連する可能性を調べた。対象は,全般性不安障害11名で,BKを測定し不安をHamilton Anxiety Rating Scale(HAM-A)で計測した。結果は,BK値が100.1pg/ml(SD 44.6)と高値を示し,HAM-AとBK値は有意な正の相関が得られ,回帰方程式はBK=5.10(HAM-A)-51.5,r=0.62,p<0.05で与えられた。BKは侵害受容伝達,全身性の細動脈弛緩と水・C1利尿による血圧低下,catecholaminesの遊離,細静脈血管透過性の亢進による浮腫,内臓平滑筋収縮などの作用があり,不安神経症の身体症状が,BKの類炎症作用から惹起される可能性が考えられた。

短報

勃起障害を合併したうつ病の2症例におけるmilnacipran(SNRI)の使用経験

著者: 宍戸壽明 ,   渡部芳徳 ,   竹内賢 ,   堀越立

ページ範囲:P.71 - P.74

はじめに
 うつ病患者に性欲減退がみられることが知られている2)。一方,近年うつ病の治療に広く用いられているselective serotonin reuptake inhibitor(SSRI)の副作用の1つとして,性機能障害(sexual dysfunction;SD)が存在することも周知のことである2,7,8,11)。今回,SDの1つである勃起障害(erectile dysfunction;ED)を合併したうつ病の2症例に,本邦で唯一使用可能なserotonin-noradrenaline reuptake inhibitor(SNRI)であるmilnacipran(トレドミン®)を使用し,良好な治療効果が得られたので,若干の考察を加え報告する。

Fluvoxamine使用中にセロトニン症候群を発症したと思われる双極性感情障害の1例

著者: 石田康 ,   山下直子 ,   橋口浩志 ,   三山吉夫

ページ範囲:P.75 - P.77

はじめに
 セロトニン症候群は主に抗うつ薬などのセロトニン作働薬の投与中の副作用であり,脳内のセロトニン活性が亢進した結果として発症すると考えられている3,9)
 筆者らは,約1年間にわたるfluvoxamineとlithiumの併用期間の後,fluvoxamineの過量内服に引き続いてセロトニン症候群様のエピソードを呈した双極性感情障害の1症例を経験したので,ここに報告する。

Fluvoxamineが著効した身体醜形障害の1例

著者: 川西洋一 ,   堀孝文 ,   白石博康 ,   鈴木利人

ページ範囲:P.79 - P.82

はじめに
 身体醜形障害(Body Dysmorphic Disorder;以下BDD)は,外見についての想像上の欠陥へのとらわれ,または,小さい身体的異常が存在する場合,その心配が著しく過剰であることを臨床的特徴とする2)。従来BDDの治療に関しては,薬物療法が奏効しがたく,精神療法も困難であるとされてきた5,6)。今回我々は,fluvoxamineが著効した21歳時発症のBDDの1例を経験したが,本邦においてはBDDにおけるfluvoxamineによる治療例は立澤ら11)が報告しているのみであり,今後症例を重ね検討する必要があると考えられ,若干の考察を加え報告する。

Risperidoneにより抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)を呈した精神分裂病の1例

著者: 宮本歩 ,   長尾喜代治 ,   長尾喜一郎 ,   松林武之 ,   近藤秀樹

ページ範囲:P.83 - P.85

 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(Syndronne of inappropriate secretion of antidiuretic hormone;SIADH)は抗精神病薬,抗うつ薬など向精神薬の副作用の1つとして報告されており6,8),セロトニン系異常の関与が考えられているが7),いまだその発症機序は明らかではない。一方,risperidoneによるSIADHの報告例は,我々が文献的に渉猟しえたかぎりでは海外で散見されるものの2,3,9,10),本邦ではみられない。今回我々はrisperidone投与中にSIADHを呈した精神分裂病の1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する。

精神分裂病様症状を主症状とし両側の側頭・後頭葉病変を呈した成人発症モヤモヤ病の1症例

著者: 宮岡剛 ,   笠原恭輔 ,   三浦星治 ,   大城隆太郎 ,   岡崎四方 ,   山崎繁 ,   三原卓巳 ,   清水予旨子 ,   松原啓 ,   安川玲 ,   助川鶴平 ,   稲垣卓司 ,   堀口淳

ページ範囲:P.87 - P.89

はじめに
 モヤモヤ病の臨床症状は多彩であり,その症状発現型式は,若年者では梗塞型,一過性脳虚血発作(TIA)型,てんかん型が多く,成人では出血型が多い8,10)。精神症状に関しては,小児例で精神発達遅滞などを呈することがあるが,成人例で精神医学的に問題となる症状がみられることはまれである1,2,6,9)。我々は被害妄想,幻聴,精神運動興奮などの精神分裂病様症状で発症した成人発症のモヤモヤ病を経験したので報告する。

脳梗塞後に躁うつ病様症状を呈した1症例

著者: 遠藤憲一 ,   佐々木恵美 ,   高尾哲也 ,   鈴木利人

ページ範囲:P.91 - P.94

 脳梗塞後に抑うつ症状をみることはよく知られているが9),躁症状や躁うつ病様症状の報告は比較的まれである。我々は,左基底核を中心とした領域に脳梗塞を起こし,約5か月後に軽い意識障害と躁うつ病様症状を呈した症例を経験した。左半球の病変による躁うつ病様症状の報告は少なく,興味ある症例と思われたので報告する。

資料

摂食障害の心理・社会的要因

著者: 金城東和 ,   鎌形英一郎 ,   菊次佐千代 ,   喜瀬広亮 ,   喜多麻衣子 ,   北原裕一 ,   吉良聡 ,   鈴木翔 ,   金子誉

ページ範囲:P.97 - P.103

はじめに
 摂食障害の報告は古くは17世紀より認められるが,近年増加の傾向がみられる5)。以前は極度のやせ,食欲低下,拒食,無月経などがみられる神経性無食欲症(神経性食欲不振症)が注目されていたが,最近ではむちゃ食いのエピソードを反復し,その期間中に摂食行動を自己制御できず,体重増加を防ぐために嘔吐したり,下剤や利尿剤の使用を行う神経性大食症や,神経性無食欲症と神経性大食症の両方を合わせ持つものなど,いろいろな種類の摂食障害がみられるようになった6)
 これらの摂食障害のほとんどは10代から20代前半の女性に発症するが,その原因と考えられる心理的・社会的要因が十分に解明されていないことに鑑み,このような問題について同年代の女性と比較することで,何らかの指針が出ないかと考えた。そこで,摂食障害発症の原因と考えられる要因を取り上げ,アンケート調査用紙を作成,調査を実施し,統計学的な検討を行った。

私のカルテから

CarbamazepineによるAdams-Stokes症候群—突然死の危険性について

著者: 長嶺敬彦 ,   池田まな美 ,   村田正人

ページ範囲:P.104 - P.105

 頭部外傷後の人格情動障害の患者に対して,易刺激性,衝動性,急激な気分変動を軽減する目的でcarbamazepine(以下CBZと略す)を長期投与していたところ,徐脈発作が頻回に出現した。ホルター心電図で洞機能不全と房室ブロックを認め,Adams-Stokes症候群と考えられた。CBZの血中濃度は治療域であった。CBZを漸減中止するに従い,徐脈発作はみられなくなり,ホルター心電図でも洞機能不全は消失した。
 CBZによるAdams-Stokes症候群は稀であるが,中毒域ではなく治療域で起こる重篤な副作用である。また内服開始後いつ出現するかわからないので注意が必要であると考えられた。

動き

「第35回日本てんかん学会」印象記

著者: 山田了士

ページ範囲:P.106 - P.107

 第35回日本てんかん学会は,2001年9月27日,28日の2日間,鈴木二郎会長(現国際医療福祉大学,前東邦大学教授)と大澤真木子副会長(東京女子医科大学教授)のもとに,東京新宿の京王プラザホテルで行われた。東京での開催は昨年の第34回(真柳佳昭会長)から2年連続となるが,昨年の赤坂・明治記念館の閑静な雰囲気とはまた趣が異なり,新宿副都心の巨大なビル群と賑わいの中での学会はそれにふさわしい活発な盛り上がりを見せた。
 今回の学会のテーマは「てんかんにおける病因と発達—てんかんの克服に向けて」であり,鈴木会長が話しておられたように,「究極の目標としてのてんかんの治療,克服」を目指すためのプログラムが組まれたといえる。特に薬物療法やてんかんと妊娠・出産と児の発達に関するシンポジウムは,てんかん診療にあたるすべての医師が日常的に直面している問題を扱ったものとして非常に実践的で価値の高いものであった。これまで薬物療法に関するシンポジウムがほとんど行われていないことをお聴きしていささか驚いたが,新世代の抗てんかん薬導入が諸外国より遅れているわが国の現状で,いかにして既存の薬物で効果的かつ安全な治療ができるかを探るという意図が明確に感じられた。また「“てんかん”の影響一妊娠の成立から乳児期まで」と題されたシンポジウム2では,単に妊娠とてんかんという問題だけではなく,遺伝の問題から胎児期から出生後の児の発達やその後のQOLの問題に至るまで,てんかんを持つ親と子の問題がライフステージごとに取り上げられた。これまで,てんかんと妊娠という問題は奇形発生の有無などに焦点が絞られがちであったが,このシンポジウムは人を生涯にわたってケアするための具体的な問題の解決を模索した貴重なものといえる。ただしこれらのような臨床研究には,“evidence-based medicine”を前提とした疫学的手法が必須の時代的要求となっているが,わが国ではまだ大規模な臨床研究の実施に関するインフラストラクチャーが十分にできていない。今回の2つのシンポジウムを機に,日本人固有の問題も含めた臨床指針がさらに充実していくことが期待される。

「精神医学」への手紙

精神病者の突然死

著者: 一杉正仁

ページ範囲:P.109 - P.109

 本誌第43巻第9号掲載の「精神病院入院患者の突然死」1)を興味深く拝読した。筆者は精神病者の突然死の研究を専門とする立場から,多少の補足をさせていただきたい。
 わが国では原因不明の突然死は異状死であるため,医師による死体検案が行われて死因が決定される。外表のみからの検索では死因確定が困難なものが多く,法医解剖(あるいは承諾解剖)によって死因が究明されることになる。しかしながら,死因究明のためにこのような解剖が行われているのは一部の地域にすぎず,憂慮すべき現状である。生前の一般臨床検査で著変ないが,剖検で肺動脈血栓塞栓症,心筋の虚血性変化を発見することは多々あり,生前の医療経過や死亡時の状況のみから死因を推定することは困難である2〜5)。筆者らは,剖検にあたっては三大腔(頭腔,胸腔,腹腔)の開検,詳細な病理組織および中毒検査などを日常的に行っている。このような精度の高い検査が死因究明に望まれるところである。

基本情報

精神医学

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-126X

印刷版ISSN 0488-1281

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