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研究と報告
長期入院中の慢性精神分裂病患者の示す暴力行為について
著者: 鶴田聡1
所属機関: 1慈光会病院
ページ範囲:P.33 - P.38
文献購入ページに移動【抄録】 当院男子閉鎖病棟に1年以上在院中の罹病期間10年以上の慢性精神分裂病患者の暴力行為を2年間prospectiveに調査した。リストアップした79例中暴力をふるった者は28例(35.4%)。同時期に入院していた精神分裂病患者のうちリストアップした例を除く71例においては7例(9.9%)であった。ドロップアウト例を除く70例で,暴力と症状との関連を検討した。暴力をふるった者は罹病期間の短い,直前に暴力の既往のある,陽性症状の強い,陰性症状の弱い患者に多かった。また,再発などの急性の症状変化のある例に多かった。暴力の要因は,急性の症状変化を伴うものが46%,短絡衝動行為が26%,特発性が14%,残遺性の幻覚妄想によるものが9%であった。
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