文献詳細
文献概要
巻頭言
飽食の時代—学会,雑誌,向精神薬の数
著者: 宮岡等1
所属機関: 1北里大学医学部精神科
ページ範囲:P.1042 - P.1043
文献購入ページに移動まず学会の数である。精神医学関連の学会や研究会だけで,いったいいくつあるのであろうか。毎月のように開かれ,教室員の学会参加は奨励したいと思いつつ,それによって犠牲にされる診療,教育,研究に見合うだけの意義があるかと疑問に感じることが少なくない。比較的レベルが高いとされる学会でも,学会発表のうちその後論文にされていたのは3/4にすぎないというアメリカの研究があるが(Schwartz LM, et al:JAMA 287:2859-2863,2002),日本で多くの学会を広く対象として同様の調査をすればこれよりはるかに低率であろう。発表すべきことがあるから開かれる学会であるはずなのに,演題が足りないからと会長から応募を依頼され,自分が逆の立場になるとやっぱり頼んでしまうかもしれないと,反省しつつ応じてしまう。学会に出す演題を用意するために,本当に重要な研究にかける時間が少なくなるなどという笑えない話も耳にしたことがある。
掲載誌情報