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強迫性障害の認知機能
著者: 中尾智博1 中川彰子1
所属機関: 1九州大学大学院医学研究院精神病態医学
ページ範囲:P.1044 - P.1054
文献購入ページに移動はじめに
1980年代後半以降のpositron emission tomography(PET)やfunctional magnetic resonance imaging(fMRI)などの機能画像の発展に伴い,強迫性障害(Obsessive-Compulsive Disorder;OCD)における前頭葉や基底核領域の機能異常が報告され,その生物学的な異常が注目されるようになっている。他方,神経心理学の領域では,従来からOCDの認知機能の障害に関する所見が蓄積され,強迫症状との関連性が指摘されてきた。これらの研究で得られた知見はまだ一致しない点も多いが,OCDを生物学的な視点でとらえ,その病因として脳機能の異常に着目している点では共通している。現時点でOCDに関する生物学的・神経心理学的研究がどこまで進み,どんな問題が残されているかを把握することは,OCD治療に携わる臨床医にとって極めて有用であろう。本稿の目的は,OCDの認知機能に焦点をあて,これまでに行われた神経心理機能と脳機能に関する研究も渉猟し,それらの機能と強迫症状との関連について最新の見解をまとめ,臨床医の益に供することである。
1980年代後半以降のpositron emission tomography(PET)やfunctional magnetic resonance imaging(fMRI)などの機能画像の発展に伴い,強迫性障害(Obsessive-Compulsive Disorder;OCD)における前頭葉や基底核領域の機能異常が報告され,その生物学的な異常が注目されるようになっている。他方,神経心理学の領域では,従来からOCDの認知機能の障害に関する所見が蓄積され,強迫症状との関連性が指摘されてきた。これらの研究で得られた知見はまだ一致しない点も多いが,OCDを生物学的な視点でとらえ,その病因として脳機能の異常に着目している点では共通している。現時点でOCDに関する生物学的・神経心理学的研究がどこまで進み,どんな問題が残されているかを把握することは,OCD治療に携わる臨床医にとって極めて有用であろう。本稿の目的は,OCDの認知機能に焦点をあて,これまでに行われた神経心理機能と脳機能に関する研究も渉猟し,それらの機能と強迫症状との関連について最新の見解をまとめ,臨床医の益に供することである。
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