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文献詳細

雑誌文献

精神医学44巻10号

2002年10月発行

文献概要

研究と報告

うつ病患者に対する電気けいれん療法の併発症(せん妄および逆向健忘)と臨床経過について

著者: 山口登1 宇田川至1 杉山恒之1 太田共夫1 秋本多香子1 渡部廣行1 鈴木英伸1 岡田良子1 青葉安里1

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学神経精神科

ページ範囲:P.1055 - P.1060

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【抄録】 〈目的〉電気けいれん療法(electroconvulsive therapy:ECT)の併発症であるせん妄および逆向健忘と抗うつ効果および予後(再燃の有無)の関係を明らかにする。
 〈対象〉大うつ病エピソード(DSM-IV)のためECTが施行された55〜77歳の74(男15,女59)名である。
 〈方法〉本研究は診療録をもとに調査したretrospective studyである。Modified-ECTは,麻酔科医による身体管理下,サイン波治療器,100V,3〜5秒間,両側前頭部通電法にて施行され,平均施行回数は5.2,施行頻度は2回/週であった。
 〈結論〉①ECT後にせん妄を来す症例はうつ病症状の改善幅が小さく,さらに再燃の可能性が高い,②せん妄出現は年齢の影響を受け,またECT施行前のTCAの1日投与量の影響を受ける傾向がある,③ECT後の逆向健忘(非せん妄性)はうつ病症状改善の妨げにはならず,さらに予後に悪影響を及ぼす可能性も低いことが示唆された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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