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文献詳細

雑誌文献

精神医学44巻10号

2002年10月発行

研究と報告

交代人格が成長して寛解へと至った解離性同一性障害の1例—各人格のエゴグラムと風景構成法の比較を通して

著者: 千丈雅徳1 佐藤友香1 中島公博1 坂岡ウメ子1 林裕1 田中稜一1

所属機関: 1五稜会病院

ページ範囲:P.1061 - P.1068

文献概要

【抄録】 解離性同一性障害患者の主人格および交代人格に風景構成法とPCエゴグラムを施行し,人格の成長・変化を認めるとともに寛解に至った1例を報告した。失恋を契機にαが出現し,αが成長して全体をまとめるδとなった。また,陰性感情は持続していくつかの交代人格が所有したが,最終的には主人格も陰性感情を引き受けることでまとまるに至った。すなわち,交代人格には固定化した感情状態を持続する者と,そうでなく成長する者が存在することが示唆された。また,名を持たぬ不気味な存在に名を付与することで具体的な対応が可能となり治療的に大きな転機となった。風景構成法およびPCエゴグラムは人格特性を簡便に把握し,人格の推移を知る有効な手段であることが示された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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