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文献詳細

雑誌文献

精神医学44巻10号

2002年10月発行

文献概要

資料

「日本神経学会」(現;日本精神神経学会)創立以前の日本における19世紀西欧神経心理学の受容史—(1)「失語」など神経心理学的諸概念・用語導入をめぐって(1861〜1880年)

著者: 濱中淑彦1

所属機関: 1八事病院

ページ範囲:P.1119 - P.1130

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はじめに
 西欧における神経心理学の諸概念と学説の成立・変遷をめぐる歴史が日本でも詳しく知られるようになったことは周知の通りである(大橋196078),1965/9879)1967/8780)198582);濱中1980/9962)1982-8363),198364)199465);秋元ら1982-198458);Hecaen et al.198368);岩田ら199371))。とはいえ,日本における西欧神経心理学受容の歴史的記述となると,日本の研究者が本格的に独自の研究を開始した20世紀初頭以降のことは広く知られているとしても,近代西欧医学自体の全面的受容が始まった明治維新(1868)前後から19世紀末までの状況はまだ暗闇の中にあるといっても過言でない。大橋(1960)78)が引用した最古の邦文文献は,日本語失語の特性を論じた浅山と,失読例を報告した加藤による2論文(1912)であって,神山らの日本失語症文献集成(1972)72)も大西と渡辺の2論文(1893)を最初の論文として紹介するにとどまり,筆者の別稿(Hamanaka 1994)66)もそれ以前の時期までは検討の対象とはしなかった。従来の精神医学,神経学,内科学の歴史的記述(例えば,富士川190460);安芸196056);秋元ら196657);金子197373);小林197974);原田ら198767))もまだこの問題には触れるところがなく,ことに神経学と内科学の通史は富士川(1913)以後,新たに刊行されていない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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