icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学44巻11号

2002年11月発行

文献概要

研究と報告

精神疾患の将来動向—専門家を対象とするアンケート調査のまとめ

著者: 石見盛太12 松本健13 岩田宜芳14 柳沼恵一1 高橋清久5

所属機関: 1ヒューマンサイエンス振興財団 2藤沢薬品工業株式会社 3日水製薬株式会社 4株式会社サイエンスインフォメーション(前三共株式会社) 5国立精神・神経センター

ページ範囲:P.1231 - P.1239

文献購入ページに移動
【抄録】 「精神疾患に関する将来動向」に関する意見を精神医学専門家を対象にアンケート調査し,約100通の回答を得た。アンケートの設問は(1)精神疾患全般について①患者数の今後の推移予測,②治療薬の研究開発における重要な項目,③日本の研究と欧米の研究との比較,④精神疾患に関する医療上の問題点,(2)精神分裂病,気分障害,神経症性障害について①発症・進展機序はどの程度解明されたか,②発症・進展機序が解明される時期,③発症にかかわる因子の中で重要な項目,④発症にかかわる諸仮説の評価,⑤現在の治療薬の評価であった。
 精神分裂病の患者数は今後とも横這い状態が続くと予測された。また,気分障害,外傷性ストレス障害,睡眠障害,薬物依存症は増加するという予測と変わらないとする予測が相半ばした。治療薬の開発には「脳の高次機能の解明」や「心と脳の統合機能の解明」が重要であるが,それらの解明には今後10年以上かかるとの予測であった。一方,より副作用の少ない有効な抗精神分裂病薬や気分障害治療薬が10年以内に開発されるだろうとの見方も,半数以上の専門家によって示された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?