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文献詳細

雑誌文献

精神医学44巻12号

2002年12月発行

「精神医学」への手紙

精神科領域における危険な不整脈予防のための心電図自動計測について

著者: 八尾博史1 福田賢治1 定永史子2 定永恒明2

所属機関: 1国立肥前療養所内科 2九州大学大学院病態機能内科学

ページ範囲:P.1373 - P.1374

文献概要

 向精神薬を服用中の患者では,薬剤誘発性の危険な不整脈を予防するため,QTc時間の定期的な測定が必要である1,2)。QTc時間をどの誘導で計測するかは一定の見解はないが,標準12誘導心電図でもっとも長いQTc時間をとるのが一般的である。しかしながら従来の心電図検査で自動計測されるQTc時間の値は,QTc時間延長の評価に必ずしも有用とはいえない。最近,コンピュータ化したQTc時間測定法について検討がなされ3),当所においても同方法による心電図計を使用する機会を得たので,一定期間に心電図検査を受けた連続17例において得られた知見について報告する。
 従来使用していた心電図計によるQTc時間の自動計測値(A),コンピュータ化したQTc時間測定法による値(B)および循環器内科専門医による測定値(C)を表に示している。今回検討したコンピュータ化QTc時間測定法と専門医による測定値は非常によく近接した値であった(r=0.879,p<0.0001)。しかし,表から明らかなようにこれまで当所において日常診療に用いてきた心電図計からは危険な状態(特に症例1)を予測することはできなかった(AとCの相関係数r=0.167,p=0.5288)。以前にも我々はQTc時間602msecという著明延長例を従来型の心電図計で65msecも過小評価した経験がある。このように従来型の心電図計がしばしば不正確である理由として,特別に用意されたプログラムを使用しないとQTc時間の正確な自動測定はできないことと,今回使用した従来法心電図検査では全12誘導のQTc時間を平均値として表示しているため,各誘導間でQTc時間のバラツキが大きい場合,著明なQTc時間延長を見逃してしまうことがあげられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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