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文献詳細

雑誌文献

精神医学44巻2号

2002年02月発行

文献概要

研究と報告

非分裂病性自生思考が単一症候的に出現した1症例

著者: 井上洋一1 水田一郎2 小川朝生1

所属機関: 1大阪大学健康体育部カウンセリング学部門 2大阪大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.129 - P.136

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【抄録】 分裂病の病像が混在せず,自生思考を唯一の症状とする中年女性患者の3年間にわたる経過を報告し,症候論的検討を行った。本症例は精神分裂病には該当せず,非分裂病性であると考えられた。自生思考は意図的な精神活動が減弱した間隙に出現しており,意識下にある思考の表面化したものであると考えられた。また本来的に持続的性質を持っている可能性を指摘した。
 自生思考は,思考の発信の自己所属感が失われているために,発信と受信の同時性が体験されず,その結果,患者には会話的な特性を持つものとして感じられること,会話的性質は聴覚性と他者性の病理へ発展する可能性を内包していることを論じた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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