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文献詳細

雑誌文献

精神医学44巻2号

2002年02月発行

文献概要

研究と報告

対話性幻聴が持続した汎下垂体機能低下症の1例

著者: 大原一幸1 眞城拓志1 杉浦卓1 湖海正尋1 守田嘉男1

所属機関: 1兵庫医科大学精神神経科

ページ範囲:P.137 - P.142

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【抄録】 幻聴が持続する汎下垂体機能低下症の1例を経験した。本例では,意識障害が明らかでなく,精神分裂病でみられるような無名性を帯びた世界,名付け難いsignifiéは持続しては出現していなかったが,実体性が豊かで主題が日常的な対話性幻聴が持続していた。また,幻聴にあわせて口を動かしているにもかかわらず,幻聴の外来性は疑っていなかった。本例の対話性幻聴は,急性外因反応型,幻覚症,および精神分裂病の際の小精神自動症あるいは中安のいう背景思考の聴覚化として理解するよりも,内言語のFrelndheit(他性)化として理解しうるものと考えた。症状精神病においても,内言語の他性化として対話性幻聴は持続して出現しうるものと考えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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