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文献詳細

雑誌文献

精神医学44巻2号

2002年02月発行

文献概要

研究と報告

慢性分裂病患者の覚醒水準変動性と事象関連電位(P300成分)

著者: 松本直起1 郭哲次1 志波充1 吉益文夫1

所属機関: 1和歌山県立医科大学神経精神医学教室

ページ範囲:P.179 - P.186

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【抄録】 覚醒水準の事象関連電位への影響を検討する目的で,慢性分裂病患者および健常者それぞれ35名を対象として,閉瞼時眼球運動および安静時脳波における単位時間ごとのα波出現率(α-index)を視察的に計測し,α-indexの変動係数(CV)を覚醒水準変動性の指標として,これとP300成分との関連を調べた。分裂病患者では遅いタイプの眼球運動(S群)がほとんど出現せず,かつCVが有意に小さく,覚醒水準の過度の安定性が推定された。また健常者と異なり,CVとP300振幅との間に正の相関関係が認められた。以上の結果に基づき,認知や情報処理機能といった脳の活動が,脳全体の覚醒水準とその変動性の影響を受けている可能性について考察を行った。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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