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文献詳細

雑誌文献

精神医学44巻2号

2002年02月発行

研究と報告

Neuroleptic Sensitivity Reactionを契機にLewy小体型痴呆と診断し,trazodoneが有効であった1症例

著者: 加藤淳也1 内藤宏2 柴崎いづみ4 畑下光2 鈴木陽3 中村眞1 池田淑夫2 伊藤哲彦4 尾崎紀夫2

所属機関: 1トヨタ記念病院精神心療科 2藤田保健衛生大学医学部精神医学教室 3寿康会大府病院 4静心会桶狭間病院

ページ範囲:P.189 - P.194

文献概要

【抄録】 パーキンソニスムと痴呆を呈するLewy小体型痴呆(DLB)は,変性性痴呆疾患ではAlzheimer型痴呆に次いで2番目に多く,全痴呆の12〜25%を占めることが明らかにされるとともに,DLBの臨床診断基準が提示され,注目を集めている。とりわけ,DLB患者は精神病症状を呈しやすい一方,致死的ともなりうるneuroleptic sensitivity reaction(NSR)を高率に併発することがあり,DLBの早期診断と治療法の確立は臨床上の急務である。我々は,振戦,痴呆,不眠,せん妄,持続的な幻視を訴えた患者において,少量のlevomepromazine投与中にNSRと思われる錐体外路症状の悪化,動揺する認知機能,傾眠傾向の出現を経験した。このNSR出現を契機にDLBと診断し,不眠,せん妄の治療に際して抗コリン,抗ドーパミン作用が少なく,セロトニン2A受容体遮断作用を有するtrazodoneを選択し有用であった症例を紹介し,持続性の幻視やパーキンソニスムを呈する痴呆患者の診療に際して,DLBを念頭に置いた診断と治療薬選択の必要性を強調した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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