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短報
せん妄にて初発した高齢SLEの1例
著者: 北林百合之介1 上田英樹1 吉田卓史1 木下清二郎1 中村佳永子1 福居顯二1
所属機関: 1京都府立医科大学精神医学教室
ページ範囲:P.195 - P.198
文献購入ページに移動全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus;SLE)は自己免疫機序による,全身性の慢性炎症疾患であり,さまざまな精神神経症状が比較的,高頻度に出現することが知られている。SLEの発症のピークは10代から30代であり,60歳以降の発症はきわめてまれとされる10)。また,高齢で発症するSLEの場合,その活動性は比較的低く,重篤な内臓障害を伴わない軽症例が多いとされている8,10,11)。我々の調べえた範囲でも,本邦における,精神神経症状で発症した高齢SLEの報告は見当たらない。
今回,我々は,83歳まで自覚症状なく経過し,せん妄にて初発したSLEの1例を経験し,ステロイド療法の前後にて定量的脳123I-IMP SPECT検査(autoradiography method;ARG法2))およびThree-dimensional stereotactic surface projection(3D-SSP)7)を用いたSPECT画像評価を行う機会を得た。症例の紹介に加え,若干の文献的考察を加え報告する。
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