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特集 新しい向精神薬の薬理・治療 非定型抗精神病薬による目覚め現象症例
Perospironeにより著明改善し目覚め現象を経て退院した治療抵抗性分裂病の1症例
著者: 伊賀淳一1 吉松誠1 前田正人1
所属機関: 1高松市民病院精神科神経科
ページ範囲:P.261 - P.264
文献購入ページに移動精神分裂病に対する薬物として,これまでに多くのドーパミン2(D2)受容体遮断薬が開発されてきた。しかしこれらは精神分裂病の陽性症状に対して優れた改善効果を示すものの,陰性症状には効果を示さないことや,黒質-線条体ドーパミン神経系の神経遮断作用による錐体外路系副作用が高頻度に発現する問題点を有していた。またこれらの抗精神病薬を投与してもさまざまな理由で,治療がうまくいかないことがある。分裂病の診断が確定していて,かつさまざまな抗精神病薬を十分な期間,十分な量投与したにもかかわらず,十分な反応を示さない症例を治療抵抗性分裂病と呼ぶのが一般的である10)。有病率としては,Libermanら3),Shalveら6),高岸ら7)の研究より新規入院患者の4〜24%は2種類の抗精神病薬に,1〜17%は3種類以上の抗精神病薬に反応しない治療抵抗性分裂病患者と推定できる。日本ではこのような患者は,長期間にわたって精神病院に入院を強いられているのが現状である。今回我々は,治療抵抗性の陽性症状のため8年間入院を必要とした患者に,本邦で開発された新規非定型抗精神病薬であるperospironeを投与し,退院可能なまでに改善した症例を経験したので,若干の考察とともに報告する。
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