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特集 新しい向精神薬の薬理・治療 非定型抗精神病薬による目覚め現象症例
Perospirone投与中に“awakenings”現象を呈した精神分裂病の1例
著者: 松本好剛1 水谷充孝1 福居顕二2
所属機関: 1京都第一赤十字病院精神科 2京都府立医科大学精神医学教室
ページ範囲:P.265 - P.267
文献購入ページに移動Perospirone(PER)は1985年にわが国で開発されたbenzoisothiazole骨格を有し,セロトニン・ドーパミン・アンタゴニスト(SDA)の特徴を示す抗精神病薬である。基礎薬理学的には錐体外路系副作用を惹起することが少なく主作用選択性が高いことが示唆されている5)。すでに1996年から臨床の場で用いられているSDAであるrisperidone(RIS)では,抗精神病薬のRISへの切り替え後に“awakenings”(目覚め)現象と呼ばれる特徴的な精神症状を呈することが報告されている2,3)。今回PERで治療中の精神分裂病の症例に同様の現象が認められた。PER使用時の本現象に関する報告は文献としては入手しえなかった。“awakenings”現象は時に自殺の危険が伴い,RIS使用時と同じくPER使用時にも留意が必要と考えられること,および本現象を起こした患者側の要因について,若干の考察を加えたので報告する。
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