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特集 新しい向精神薬の薬理・治療 非定型抗精神病薬による目覚め現象症例
非定型抗精神病薬(リスペリドン)による目覚め現象を慢性硬膜下血腫が緩和した1症例
著者: 澤田和之1 幡手静幸1 矢野耕造1 住友三知子1 大森哲郎2
所属機関: 1清生園病院 2徳島大学医学部神経精神科
ページ範囲:P.268 - P.270
文献購入ページに移動1996年のリスペリドンの発売以来,非定型抗精神病薬の本邦での発売が続き,現在では4剤の非定型抗精神病薬を使用できるようになった。当初は従来の抗精神病薬に非定型抗精神病薬を上乗せする形での処方が目立ったが,従来薬に比べ錐体外路症状が少ない,遅発性ジスキネジアを引き起こしにくいなどの利点が浸透するにつれ,単剤での投与が増加してきた。それに伴い陽性症状の一層の改善,陰性症状の改善を経験することも多くなった。一連の症状改善は分裂病者自身にも自覚され,日常生活面での行動変化をもたらすことがある。今回我々は定型抗精神病薬の多剤併用からリスペリドン単独での抗精神病薬治療に切り替え,いわゆる「目覚め現象」が現れ,さらに経過中に慢性硬膜下血腫を併発した症例を経験したので若干の考察を加え報告する。
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