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文献詳細

雑誌文献

精神医学44巻4号

2002年04月発行

文献概要

研究と報告

Temperament and Character Inventory(TCI)による摂食障害患者の人格特性の評価および臨床症状との関連

著者: 北川信樹1 朝倉聡1 久住一郎1 傳田健三1 小山司1

所属機関: 1北海道大学大学院医学研究科神経機能学講座精神医学

ページ範囲:P.381 - P.389

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【抄録】 摂食障害患者51例と健常対照群47例にTCI(Temperament and Character Inventory)を施行し,下位診断別に群間比較を行い,臨床諸因子およびEDI(Eating Disorder Inventory)との関連について検討した。摂食障害すべての群で対照群に比しSD(自己志向)尺度が有意に低かった。神経性大食症(BN)ではP(固執)が対照群に比べ有意に高かった。下位診断間の相違は,BN群でNS(新奇性追求)が神経性無食欲症制限型群より高いことのみであり,欧米の傾向との相違を認めた。共通の特徴である低SDは,EDIのいくつかの項目や衝動行為と相関し,目的志向的な問題解決能力の欠如や自己評価の低さなどが病態に中心的役割を果たしていることが推察された。これらの特徴は,疾病による抑うつや情動不安定を反映している可能性も否定できないが,病態を悪循環的に維持する上での因子を端的に反映しており,それらを定量的に評価する上でTCIが有用な指標足りうることを示唆した。今後は予後や治療反応性との関連を含めた縦断的検討が必要と考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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