icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学44巻4号

2002年04月発行

研究と報告

難治性強迫性障害の1症例にみる現実欲求挫折の特徴

著者: 田代信維1 加藤奈子1 野見山晃1

所属機関: 1九州大学大学院医学研究院精神病態医学

ページ範囲:P.409 - P.415

文献概要

【抄録】 行動療法を施行した難治性の強迫性障害の1症例について,脅かされた現実生活上での欲求(現実欲求)をMaslowの5階層欲求理論によって検討した。
 その結果,自我尊厳欲求(他人からの評価)で傷ついたとき,同時に愛情欲求までが脅かされ,感情表出ができずにいた。そのとき出現した強迫症状は,低次の安全欲求の充足に加えて,自我尊厳の傷つきを保障する今1つの自我尊厳欲求(自己を自ら評価し,承認する欲求)に基づくことが示唆された。治療は,症状を問題にしている間はらちが開かず,症状は一進一退であったが,長女との愛憎問題の発生をきっかけに感情表出の手助けを試みたところ,愛情欲求の「わだかまり」が解け,強迫症状が急速に軽快へ向かった。以上の結果から,本症例に潜む治療抵抗性と強迫行為の意味について検討を試みた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら