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電気けいれん療法の適応と今後の課題
著者: 粟田主一1
所属機関: 1東北大学大学院医学系研究科医科学専攻神経科学講座精神神経学分野
ページ範囲:P.480 - P.490
文献購入ページに移動はじめに
電気けいれん療法(ECT)は1930年代に始まり,その後の20年間に,精神分裂病やうつ病に対する治療法として世界に広く普及した。が,1950年代後半以降,向精神薬の導入によってECTに対する関心が急速に薄れ,1960年代以降には,ECTの乱用に対する批判,安全性に対する危惧から,ECTそのものが社会的に排斥される傾向を強めていった23)。
しかし,20世紀最後の20年間に,本治療法が改めて見直されるようになった23,25)。その背景には,第一に,薬物療法の限界が明らかになるとともに,薬物療法困難例に対するECTに再び関心が向けられるようになり,その有効性を支持するデータが次第に蓄積されつっあったこと,第二に,欧米では,それまでにすでに静脈麻酔薬と筋弛緩薬の使用,酸素化,抗コリン薬の前投与など,安全面での改良が加えられた修正型ECTが広く普及しており,その安全性が臨床の中で繰り返し確認されてきたこと,などがある。
電気けいれん療法(ECT)は1930年代に始まり,その後の20年間に,精神分裂病やうつ病に対する治療法として世界に広く普及した。が,1950年代後半以降,向精神薬の導入によってECTに対する関心が急速に薄れ,1960年代以降には,ECTの乱用に対する批判,安全性に対する危惧から,ECTそのものが社会的に排斥される傾向を強めていった23)。
しかし,20世紀最後の20年間に,本治療法が改めて見直されるようになった23,25)。その背景には,第一に,薬物療法の限界が明らかになるとともに,薬物療法困難例に対するECTに再び関心が向けられるようになり,その有効性を支持するデータが次第に蓄積されつっあったこと,第二に,欧米では,それまでにすでに静脈麻酔薬と筋弛緩薬の使用,酸素化,抗コリン薬の前投与など,安全面での改良が加えられた修正型ECTが広く普及しており,その安全性が臨床の中で繰り返し確認されてきたこと,などがある。
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