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文献詳細

雑誌文献

精神医学44巻5号

2002年05月発行

文献概要

研究と報告

精神疾患患者におけるbacterial translocation

著者: 長嶺敬彦1 村田正人1 安部公朗1 池田まな美1 大賀哲夫1 岡村功1 添田光一郎1 本間純子1 渡広子1 和田方義1

所属機関: 1清和会吉南病院

ページ範囲:P.529 - P.533

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【抄録】 精神分裂病で入院中の患者で,原因不明の腸内グラム陰性桿菌による敗血症を2例経験した。2例とも糞便中と血液から同じ種類の腸内細菌が検出され,なおかつ消化管穿孔が否定的であったので,病態としてbacterial translocationが考えられた。bacterial translocationとは,本来腸管内に存在する細菌が腸管上皮や粘膜固有層を通過して腸管外に侵入する現象であり,集中治療の現場で注目されている。精神疾患患者は長期の抗精神病薬内服や生活環境から排便習慣の退廃を来しやすく,bacterial translocationを起こしやすい集団と考えられる。日常精神科臨床でbacterial translocationに言及した論文は見当たらないので,文献的考察を加えて報告した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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