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文献詳細

雑誌文献

精神医学44巻5号

2002年05月発行

文献概要

短報

髄液中アミロイドβ蛋白・タウ蛋白を検討しえた石灰沈着を伴うびまん性神経原線維変化病(DNTC)の1例

著者: 奥村匡敏12 北端裕司2 志波充2 郭哲次2 吉益文夫2

所属機関: 1国保日高総合病院精神神経科 2和歌山県立医科大学神経精神医学教室

ページ範囲:P.555 - P.557

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はじめに
 石灰沈着を伴うびまん性神経原線維変化病(Diffuse neurofibrillary tangles with calcification;DNTC)は1965年に安藤烝らが初めて報告し,1992年に小阪が1疾患単位として提唱した初老期痴呆性疾患3,4)である。Shibayamaらはこれをnon-Alzheimer non-Pick dementia with Fahr's syndromeと名づけ,Kosaka-Shibayama's diseaseとも呼ばれる5)。有病率は明らかではないが,田辺らの報告11)によれば,3,000人の痴呆患者中に占める割合は0.13%である。臨床像は初老期に記憶障害で発症し緩徐に進行する。失行,失認や視空間障害は目立たず,感情的接触性が保たれ,初期に精神症状(幻覚妄想状態)を伴ったり10),入格変化や言語機能の障害などの症状が混在する。また,神経学的にはパーキンソン症状がみられることがあり,末期にはけいれん発作,ミオクローヌスが出現し,失外套症候群に近い状態となり,感染症などにて死亡する。放射線学的には,側頭葉や前頭葉優位の萎縮と広範な石灰化を認める。病理学的には,大脳皮質に多数の神経原線維変化をみるが,老人斑やピック嗜銀球を欠くなどの特徴を有する。今回,我々は臨床的にDNTCと診断された1例を経験し,髄液中アミロイドβ蛋白(Aβ)とタウ蛋白を測定しえたので報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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