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短報
高齢発症の周期性躁病の1例
著者: 丸井和美12 井関栄三1 二橋那美子1 小阪憲司1
所属機関: 1横浜市立大学医学部精神医学教室 2東京慈恵会医科大学付属病院看護部
ページ範囲:P.559 - P.561
文献購入ページに移動老年期の感情障害はうつ病あるいはうつ状態として注目されることが多く,躁病や躁状態が問題とされることは少ない。一方,発症年齢にかかわらず単極性の躁病は稀であることから,周期性の躁病は双極性障害の中に含められている。双極性障害の発症年齢は20歳代にピークがあり,年齢とともに減少し,ほとんどが50歳までに発症する。しかし近年,欧米では老年期の躁病に関するまとまった研究報告がなされており5),わが国でも最近では,老年期の躁病に関心が寄せられるようになってきた2,3)。老年期の躁病の発症要因の検討もなされ,病前性格や心理社会的要因以外に,合併する身体疾患や脳器質障害との関係が問題とされている。
今回,我々は78歳で躁状態で初発し,その後周期的に躁状態を繰り返し,明らかな脳器質障害の認められない82歳の女性例を報告する。高齢発症の躁病でも,本例のような周期的な経過をとった症例の報告は少ない。
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