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特別寄稿
NIH/NIMH(米国国立衛生機関)にリードされるアメリカの精神医学研究の実態(第3回)—日本生物学的精神医学会における報告と討論,その後の比較考察
著者: 澤明1
所属機関: 1ジョンズホプキンス大学精神医学部門,神経科学部門
ページ範囲:P.571 - P.578
文献購入ページに移動過去2回にわたり,アメリカで医学研究を制度上リードする立場にある米国国立衛生機関(National Institute of Health:NIH)のNational Institute of Mental Health(NIMH)副所長リチャード中村のアレンジによって私が行った,アメリカの研究に対する考え方,機構についてのインタビューを連載したが,今回はその最終回となった。第1回目は,NIHの機構とその基本理念,そしてその理念に基づく研究評価の考え方とグラント申請のあり方について述べ,第2回目は,その研究実践と倫理のあり方について述べた。
本稿では,こうした調査結果に対して,日本との比較を念頭に置いて,考察を行いたい。これらのインタビューに基づく調査結果については,昨年日本生物学的精神医学会に招いていただき,私の発表に対して,指定討論者の先生方(追記参照),会場参加者の方々から意見を頂戴するという討論形式の場を設けていただいた。本稿前半では,その討論内容をまとめたいと思う。これらの討論を通し,現在の日本では研究制度の変革が進んでおり少なくとも形式的には(「ハード」の側面では),私が調査してきたアメリカの制度に近づきつつあるが,「ソフト」な面ではまだずいぶんと違いがあるのではないか,ということが明らかになってきた。本稿後半では,この「ソフト」面で日本が真に国際化し発展していく上で何が必要とされるかについて,自身の経験に立った主観的な側面も若干交えて,論じていく。
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