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文献詳細

雑誌文献

精神医学44巻6号

2002年06月発行

文献概要

研究と報告

成人Still病の経過中にせん妄に基づく精神症状を呈した1症例

著者: 伊藤敬雄1 山寺博史1 遠藤俊吉3 川嶋修司2 山中博之2

所属機関: 1日本医科大学付属多摩永山病院精神神経科 2日本医科大学付属多摩永山病院内科 3日本医科大学精神医学教室

ページ範囲:P.651 - P.657

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【抄録】 症例は20歳男性。感冒症状が遷延化し無欲状態と不機嫌が認められた。右手関節の発熱と腫脹発現の5日後に不穏状態が出現した。精神運動活動は夜間の体温上昇途中時と早朝の体温下降途中時に相関して顕著となった。思考は混乱し,注意転導性と記銘の障害を認めた。物音に過敏に反応し状況誤認に基づく断片的な妄想を呈した。これらのことより意識野狭窄状態に精神運動興奮が加わり,脳波の非特異的な徐波化と合わせてせん妄と考えられた。抗精神病薬による精神症状の改善は乏しく,精査の結果,成人Still病の診断基準を満たしたためにステロイド療法を開始したところ,約1週間後から発熱と炎症所見の改善とともに精神症状の改善が得られた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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