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特集 精神疾患と認知機能
分裂病型障害患者と精神分裂病患者の神経心理学的プロフィールの比較
著者: 山下委希子1 松井三枝2 倉知正佳1 野原茂1 高橋努1 米山英一1 加藤奏12 黒川賢造3
所属機関: 1富山医科薬科大学医学部精神神経医学教室 2富山医科薬科大学医学部心理学教室 3福井県立精神病院精神・神経センター
ページ範囲:P.845 - P.851
文献購入ページに移動精神分裂病患者に対して神経心理学的検査を行うことの意義について,松井と倉知8)は,病相期の病態生理の解明に寄与し,残遺期ないしは寛解期に内在する機能障害の評価としても有用であり,前駆期に施行することにより,発病予測や早期診断の参考にもなる可能性があると述べている。近年,分裂病患者に対する神経心理学的アプローチは臨床症状や脳画像所見との関連からも盛んに行われている。それらによると,言語性記憶課題時の前頭葉—視床—小脳回路の賦活低下1)や,前頭葉と上側頭領域の賦活低下3),さらには左側の下前頭回を含む前頭葉の機能障害が指摘されている11)。また,遂行機能課題時の前頭前野の活性低下も報告されている6)。しかし,病期ごとの機能評価,発病予測や早期診断に役立てるためには,前駆期と病相期といった病期ごとの特徴について検討する必要がある。さらに,その結果をもとに,より感度の高い検査バッテリーを開発することが重要になると思われる。
そこで,我々は,前駆期にも相当する分裂病型障害患者と,分裂病患者の神経心理学的プロフィールを比較し,その結果について検討した。
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