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特集 精神疾患と認知機能
精神分裂病の認知障害と覚醒水準との関係について
著者: 相川博1 豊嶋良一1 太田敏男1 岡島宏明1 松岡孝裕1 中西正人1 井上清子1 中江雅人1 古田龍太郎1 奥山有里子1 山内俊雄1
所属機関: 1埼玉医科大学精神医学教室
ページ範囲:P.861 - P.865
文献購入ページに移動近年,精神分裂病の注意・情報処理障害について多くの関心が寄せられており,分裂病患者では種々の認知機能の障害があると考えられている。分裂病の認知障害の背景には神経伝達物質の異常,脳の形態学的変化や脳血流量の低下などさまざまな原因が想定されているが,1970年代から80年代にかけて分裂病の過覚醒説5,6,8)が唱えられ,分裂病の認知障害の原因の1つとして過覚醒状態が存在するためであるとの仮説が提唱された3)。
そこで我々は,生理学的覚醒水準の指標として休息や音刺激反応時間課題時にみられるα波帯域振幅の変化を,認知機能の指標として事象関連電位(ERP)の後期陽性成分(LPC)や反応時間を用いて,分裂病患者の覚醒水準と認知機能の関連について検討してきたので,その結果について述べる。
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