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文献詳細

雑誌文献

精神医学44巻8号

2002年08月発行

文献概要

研究と報告

他者の視線方向に対する自閉症者の反応—表象的処理と反射的機序の乖離

著者: 岡田俊1 佐藤弥2 村井俊哉1 十一元三3 久保田泰考1 石坂好樹1

所属機関: 1京都大学医学部精神医学教室 2京都大学教育学部教育認知心理学講座 3

ページ範囲:P.893 - P.901

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【抄録】 自閉症者において対人場面で観察される共同注意の障害が,認知行動過程のどの段階における障害であるかを明らかにするため,1次,2次の心の理論課題を通過せず,対人場面での共同注意に障害のみられる自閉症者を対象として,視線方向による手がかり課題を用いた注意定位実験を行ったところ,反射的な共同注意が認められた。反射的な共同注意は必ずしも注意の共有を必要とせず,心の理論や対人場面での共同注意と異なり他者の心の状態に対する認知表象を必要としない。本研究で両者の間に乖離を認めたことは,今後,自閉症の対人表象理論について認知表象の有無を明確にした理論構築が必要であることを示している。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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