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文献詳細

雑誌文献

精神医学44巻8号

2002年08月発行

動き

「第24回日本生物学的精神医学会」印象記

著者: 越野好文1

所属機関: 1金沢大学大学院脳情報病態学(神経精神医学)

ページ範囲:P.920 - P.921

文献概要

 第24回日本生物学的精神医学会は,現在の学会が取り組むべき最重要課題である「精神医学の基礎と臨床の統合をめざして」をメインテーマに,埼玉医科大学精神医学講座の山内俊雄会長のお世話で,例年より開花の早かった桜の季節に引き続き,2002年4月10〜12日にさいたま市の大宮駅前に位置する大宮ソニックシティで開催された。古くからの交通の要所である大宮は,近くの武蔵一宮の氷川神社で知られる。その印象を少し綴りたい。
 まず,学会の正式プログラムとなった従来の若手プレシンポジウムの「精神医学研究を遺伝学から今一度見直す」は,遺伝の基本の基本から最先端の研究まで,まことに見事な構成であり,しかも「わかりやすく,わかりやすく」とシンポジウムの司会者から注文されたという演者の「難しい理論もいったんわかれば後は簡単」という言葉に励まされ鎌谷直之氏の「形質関連ゲノム配列探索の理論と手法」,中堀豊氏の「遺伝学の基本と多因子遺伝」を傾聴した。厳しい倫理的配慮が求められる遺伝子研究に対して,三省「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」が発表された折から福嶋義光氏の「遺伝子研究の倫理的側面」は,指針はあくまで指針でありその運用は研究者の判断で行うことであり,ともすればマニュアル頼りになることへの反省を込め,研究者の自己責任を考える機会になった。藤田芳司氏の臨床的に確かな成果が期待される「ゲノム創薬」,海老澤尚氏の概日リズムに関する遺伝子の発見という臨床に密着した「時計遺伝子と睡眠覚醒障害」はいずれも,シンポジウムの意図に沿った刺激的な講演であり,ディスカッションも活発で実り多いものであった。学会初日から実りある学会になる予感がした。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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