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研究と報告
恐慌状態を経て陰性症状が明らかになった精神分裂病の1症例—病初期の抑うつに関連して
著者: 杉山通1
所属機関: 1豊橋市民病院精神神経科
ページ範囲:P.957 - P.960
文献購入ページに移動【抄録】 意欲低下,頭痛などをもって発症,経過中希死念慮を伴う恐慌状態を来し,以後思考の貧困,感情鈍麻がみられ精神分裂病と診断された1男性例を報告する。従来より分裂病の早期にうつ症状が多くみられることが知られている。また幻覚妄想などの陽性症状に乏しい分裂病例が増加しており,気分障害との鑑別が問題になる。分裂病を念頭に置いた抑うつ症状の鑑別には計量的な症状評価のみでは不十分であり,病者の対人的かかわりの障害を,評価者の主観的印象を通じて判断することが必要である。こうした観点から分裂病早期のうつ状態について若干の文献的考察を交えて検討した。
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