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文献詳細

雑誌文献

精神医学44巻9号

2002年09月発行

文献概要

研究と報告

老年期うつ病の入院長期化に関する検討

著者: 高橋彩子1 三村將1 田所千代子2 西岡玄太郎1 高橋太郎1 上島国利1

所属機関: 1昭和大学医学部精神医学教室 2都立多摩総合精神保健福祉センター

ページ範囲:P.993 - P.1000

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【抄録】 老年期うつ病患者の臨床観察からは入院が長期化する例が稀ならず認められる。入院の長期化にかかわる要因を検討するため,老年期うつ病で入院した患者94例について後方視的に調査した。21例が治療途中で転院・転科しており,さらに残りの73例につき,入院期間が90日未満の短期群と,90日以上の長期群に分け,症状評価尺度を3か月間追跡した。入院が長期化する要因としては(1)症状出現から精神科受診までの期間が長いこと,(2)入院4週間後のハミルトンうつ病評価尺度の総得点が高値であること,(3)抗うつ薬による副作用の出現頻度や副作用の種類が多いこと,(4)身体合併症の種類が多く,重症度が高いことなどが関与すると考えられた。これらの知見は老年期うつ病の治療計画を検討する際に有用であると思われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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