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雑誌詳細

文献概要

短報

抗うつ薬の投与によりブラキシズムを生じたうつ病の2症例

著者: 宮岡剛1 上垣淳1 三浦星治1 岡崎四方1 山崎繁1 三原卓己1 清水予旨子1 安川玲1 坪内健1 水野創一1 前田孝弘1 助川鶴平12 稲垣卓司1 堀口淳1

所属機関: 1島根医科大学医学部精神医学講座 2国立療養所鳥取病院精神科

ページ範囲:P.1005 - P.1007

はじめに
 歯ぎしり(bruxism:ブラキシズム)は睡眠時の口腔習癖として古くから知られており,歯周疾患,歯の過度な咬耗,顎機能障害などに影響があると考えられている。心理的因子と歯科的因子とがブラキシズム発症に関与すると推察されているが,ブラキシズムの病因などの詳細については未解明の点が多い5)
 近年,欧米において選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの向精神薬により,非睡眠時のブラキシズムが誘発されたとする報告がいくつかあり,睡眠時のブラキシズムとは区別され,錐体外路症状として考察されている1,3,11)。特にSSRI誘発性ブラキシズムが注目され,その治療法の1つに5-HT1A作動薬であるブスピロンの投与が有効であるとする報告がある2)。しかし,我々の知るかぎりにおいて,本邦の精神科領域における報告は皆無である。
 今回,SSRIなどの抗うつ薬の投与によりブラキシズムを生じたうつ病の2症例を経験した。この2症例のブラキシズムには,症例1では修正電気けいれん療法が,また症例2ではタンドスピロンの投与が奏効した。そこで今回はこれらの症例について報告し,若干の考察を加える。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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