icon fsr

雑誌詳細

文献概要

短報

脳波上律動性徐波群発が間歇的に出現し,喫煙により増強されたWernicke-Korsakoff脳症の1例

著者: 森山泰1 原常勝1 吉野相英2 加藤元一郎3 三村將4 吉村直紀1 鹿島晴雄3

所属機関: 1駒木野病院精神科 2防衛医科大学校精神科学 3慶應義塾大学医学部精神神経科 4昭和大学医学部精神神経科

ページ範囲:P.1009 - P.1011

はじめに
 Wernicke-Korsakoff脳症はサイアミン欠乏により特有の神経症状と病理所見を呈する1神経疾患単位である。
 Wernicke-Korsakoff脳症における脳波異常については,前頭優位の2〜4Hzの多形性高振幅徐波群発2)や多形性徐波1)などが報告されているが,いずれも時期が急性期であり,慢性期のKorsakoff脳症に限った脳波異常については我々の調べた範囲では見つからない。律動性のδ波はIRDA(intermittent rhythmic delta activity)といわれ,局在性脳損傷例では中脳被蓋・視床下部などの脳幹病変での報告があるが8),脳の局在性病変・びまん性病変両方で生じるとする報告7,9),さらにはせん妄,特に呼吸・代謝障害でも生じるとされる10)。今回我々はWernicke-Korsakoff脳症の慢性期に律動性徐波が出現し,さらに喫煙によって律動性徐波の増強がみられた症例を経験したので若干の考察を踏まえて報告する。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?