文献詳細
研究と報告
地下鉄サリン事件被害者の長期経過に関する研究
著者: 大渓俊幸1 岩波明1 清水英佑2 加藤進昌1
所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科精神医学分野 2東京慈恵会医科大学環境保健医学講座
ページ範囲:P.21 - P.30
文献概要
1995年3月20日に発生した地下鉄サリン事件被害者の長期経過を調査する目的で,事件から6年が経過した現時点における身体的症状と精神症状を調査した。方法としては,身体と眼の症状および精神症状を尋ねる自記式質問紙とImpact of Event Scale-Revised(IES-R)を被害者981名に送付し,115名の有効回答を得た。その結果,現時点においてもさまざまな精神症状が残存し,これらの症状の遷延化による気分変調や不定愁訴様の症状が遅延して出現することが明らかになった。また,精神症状と身体的症状の間に有意な相関がみられ,症状の長期経過について検討する際には身体症状と精神症状の両面について考慮する必要があることが示唆された。
掲載誌情報