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研究と報告
岩手県浄法寺町における高齢者自殺に対する予防的介入―うつ状態スクリーニングと住民啓発によるアプローチ
著者: 大山博史1 小井田潤一2 工藤啓子3
所属機関: 1立命館大学大学院応用人間科学研究科 2岩手県立一戸病院 3浄法寺町ほほえみセンター
ページ範囲:P.37 - P.47
文献購入ページに移動岩手県浄法寺町において,65歳以上高齢者を対象に自殺の予防的介入を行い,準実験的デザインにより評価した。介入では住民啓発と相談を継続しつつ,うつ状態スクリーニングと陽性者の保健医療的フォローアップを毎年30%程度の高齢者に実施し,開始5年目のみ悉皆で実施した。15年間継続した結果,介入地域では有意な変化がみられ,5年平均65歳以上男性自殺率が介入5~10年後に0となったが,10~15年後,自殺率が再上昇した。同女性自殺率は介入5年後より減少し始め,10~15年後,約1/5へ減少した。一方,対照地域では男女とも同自殺率に変化はなかった。本邦郡部の高齢者自殺多発地域では,上記介入の悉皆実施により自殺率が低減し,引き続き30%程度の高齢者に実施すると自殺率の再増加を少なくとも5年間抑止できるものと期待される。
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