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文献詳細

雑誌文献

精神医学45巻1号

2003年01月発行

文献概要

短報

Perospironeとtandospironeの併用投与が奏効した3例

著者: 山本健治1 原田研一1 吉川憲人1 鎌田隼輔1

所属機関: 1名寄市立総合病院神経精神科

ページ範囲:P.81 - P.83

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 国産初の非定型抗精神病薬perospirone(以下PER)は,主効果としてD2受容体と5-HT2受容体の遮断作用をあわせ持ち,risperidoneと同様にセロトニン・ドーパミン・アンタゴニスト(SDA)として位置づけられている。しかしながら,risperidoneに比してD2受容体に対する親和性が高く,かつ5-HT1A受容体に対する親和性をも有するという薬理学的特徴が臨床的にも注目されている。今回,我々は,PERと5-HT1A部分アゴニストであるtandospirone(以下TND)の併用投与が精神症状の改善に有効であった双極性障害1例,統合失調症2例の計3例を経験したので,若干の考察を加え報告する。

症例

 〈症例1〉 36歳,女性。

 診断 双極性障害。

 既往歴・家族歴 特記すべきことなし。

 病歴・経過 元来真面目でおとなしい性格であった。X-12年(24歳時),不眠,多弁,過活動,爽快気分,易刺激的,誇大的などの躁状態で発症し,他院での数回の入院を含め治療を継続していた。X年5月(36歳時),突然,それまでの家事手伝いからさまざまなアルバイトを探すようになり,同年6月,遠隔地での昆布加工のアルバイトに単身で出かけた。アルバイト開始時から不眠を呈し,些細なことで同僚に暴言を吐き,雇用主の車を無断で乗り回し単独事故を起こした。全く反省する様子もなく周囲への暴言・暴力が続くため,まもなく当科初診となった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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