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文献詳細

雑誌文献

精神医学45巻10号

2003年10月発行

特集 新医師臨床研修制度における精神科研修はどうあるべきか

「役に立つ」精神医学を教えること

著者: 野田文隆12

所属機関: 1大正大学 2ブリティッシュ・コロンビア大学

ページ範囲:P.1094 - P.1096

文献概要

医師になるものが持つべき精神医学的素養とは?

 現在の医学の中で精神科臨床が持っている最大の財産は「全身を耳にして聴き,理解する」という態度であろう。もちろん,聴き,理解することはどの科でも重要なことだと教えられるはずである。しかし,プロセスとしては,聴診器があり,画像があり,臨床検査があっての理解だと感じてくるはずである。精神医学の出発点は患者の人間的「患い」の理解である。その「患い」は痛みや苦しみだけに集約されるものではない。医師がその「患い」をすべて取り除ける(または取り除こう)と考えるのは傲慢なことである。まず何かをする前に,その「患い」を深く聴き取り,理解しようとする態度,時にはそれだけでも大きな意味があると考える姿勢こそ医師として重要な素養ではないかと思う。そして,精神科研修ではこの素養の意味が理解されてほしい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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