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文献詳細

雑誌文献

精神医学45巻10号

2003年10月発行

文献概要

特集 新医師臨床研修制度における精神科研修はどうあるべきか

これまでの経験から

著者: 山下格1

所属機関: 1平松記念病院

ページ範囲:P.1101 - P.1102

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まず坐る

 今から50年ほど前,心身症への関心が急に高まったころ,特にお願いして某内科の回診に加わって,問題のありそうな患者から話を聞かせてもらったことがある。当時の内科病棟には,処置室はあったが診察室(したがって面接室)がない。やむをえず空いている個室に案内して,患者は椅子に私はベッドの端に坐ると,途端に患者が話し始めて,私はひたすらメモをとるのに追われた。その内科の検討会に3症例をまとめて報告したが,主治医が知らないことをどうして聞き出したのかと聞かれた。私は聞き出したのではなく,二人で坐ったら相手が自然に話し出したのである。

 新聞報道によると,画像を見て病人の顔を見ない医者が増えているそうである。それが卒後臨床研修を導入する理由の一つだという。ある学校では,学生が患者と医者になってロールプレイの実習をすると聞いた。その試みもよいことであろうが,予診の機会にでも,まず無心に患者と坐ると,何かが始まる。禅修業ではないが,坐ると自然に起き,坐らなければ生じないものがある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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