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文献詳細

雑誌文献

精神医学45巻10号

2003年10月発行

文献概要

短報

悪性高熱症の既往のある統合失調症患者に対するolanzapineの使用経験

著者: 西澤章弘1 井原裕1 新井平伊1

所属機関: 1順天堂大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.1111 - P.1114

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はじめに

 悪性高熱症と悪性症候群とは,高熱,筋硬直,横紋筋融解などの症状が類似し,治療法もdantroleneを使用するなど病態の共通性が指摘されている。そのため,悪性高熱症の既往を持つ患者に抗精神病薬を使用する場合には,悪性症候群の発現が危惧され,使用すべきでないという見解もある15)。今回我々は,悪性高熱症の既往歴のあった統合失調症患者に対し,悪性症候群の副作用の少ないと考えられるolanzapineを使用した。経過中,高CK血症を呈したものの,olanzapineの服薬により悪性症候群が出現することはなく,寛解が得られた。悪性高熱症は,吸入麻酔薬などの麻酔薬が引き金で生ずる発現頻度の低い疾患であり,臨床において悪性高熱症の既往のある患者に抗精神病薬を使用する機会に遭遇することは極めて稀と思われる。

 本症例は,悪性高熱症の既往のある症例に対する治療的判断に際して参考になると考えられ,若干の考察を加え報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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