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巻頭言
新しい「精神病理学」の創出
著者: 森山公夫1
所属機関: 1陽和病院
ページ範囲:P.1138 - P.1139
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この時代の激変期にあたり,精神医療もその制度・実践と学的内容の大きな転換を経験しています。制度についてわたしたちは最近,「心神喪失者法案」や「病床削減問題」で激しい攻防を経験してきました。で,ここでは話を学的転換にしぼります。
現在目立つことの一つは,アメリカの教科書DSMと,伴走するICD-10とが,日本の,そして世界の精神医学界を支配してきたことです。もう一つは,いわゆる第二世代向精神薬の開発に伴う製薬業界のリードです。そして第三が,精神医療への経済支配で,これは「エビデンスに基づく精神医学」(EBM)の流れとなり,つまりは統計学的な数字を強調します。こうしてアメリカンスタンダードがいつしかこの日本を支配し,日本の精神医学のあり方を大きく変えました。その中で精神病理学の凋落が目立っています。
この時代の激変期にあたり,精神医療もその制度・実践と学的内容の大きな転換を経験しています。制度についてわたしたちは最近,「心神喪失者法案」や「病床削減問題」で激しい攻防を経験してきました。で,ここでは話を学的転換にしぼります。
現在目立つことの一つは,アメリカの教科書DSMと,伴走するICD-10とが,日本の,そして世界の精神医学界を支配してきたことです。もう一つは,いわゆる第二世代向精神薬の開発に伴う製薬業界のリードです。そして第三が,精神医療への経済支配で,これは「エビデンスに基づく精神医学」(EBM)の流れとなり,つまりは統計学的な数字を強調します。こうしてアメリカンスタンダードがいつしかこの日本を支配し,日本の精神医学のあり方を大きく変えました。その中で精神病理学の凋落が目立っています。
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