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雑誌詳細

文献概要

特集 ICFと精神医学

ICFと発達障害―活動と参加に焦点を当てて

著者: 太田昌孝1

所属機関: 1東京学芸大学特殊教育研究施設

ページ範囲:P.1175 - P.1184

 国際生活分類(ICF:International Classification of Functioning, Disability and Health)は,世界保健機構(WHO)により2001年に採択された27)。これは1980年の国際障害分類(ICIDH)28)を改訂されたものである。ICIDHは成人の精神障害者の障害論の発展や生活の改善については大きなインパクトを与えた。しかしながら,子どもの精神医学の領域については世界的に見てもインパクト力は少なかった。むしろ同時期に出版されたDSM-III3)のほうが子どもの精神医学の領域の体系的整理と診断基準の明確化と多軸診断の採用のインパクト力がとりわけ日本では大きかった。

 実際に,現在に至るまで発達の過程にある子どもについてのICIDHあるいはICFを適用した研究はほとんどなく,その理念が紹介されているにとどまっている。それは,ひとつには,児童・思春期精神医学においては,ICIDHやICFの体系を用いなくとも,治療に際しては,学校や家庭などの社会的要因を考慮する必要があり,それに沿ったさまざまな評価システムが用いられてきていることが要因となっていると思われる。もう一つには児童・思春期の精神障害について用いにくいICIDHあるいはICFにおける内在的問題点があったように思える。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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