文献詳細
短報
電気けいれん療法が奏効したPisa症候群を呈する分裂感情障害の1例
著者: 分野正貴1 柳生隆視1 入澤聡1 谷万喜子2 木下利彦1
所属機関: 1関西医科大学精神神経科学教室 2関西鍼灸短期大学神経病研究センター
ページ範囲:P.1215 - P.1218
文献概要
Pisa症候群は,薬物により惹起される持続性の姿位異常で,頚部から腰部にわたる側屈位姿勢を特徴とする病態である1)。主に傍脊柱筋のジストニア様不随意運動により,収縮側を凹として体幹が側屈する6)。その治療には,抗コリン薬やamantadineなどのさまざまな抗パーキンソン薬やビタミンEなどが試みられているが無効例が多く,むしろ抗精神病薬の中止や減量が有効といわれている6)。我々は,分裂感情障害の薬物療法中にPisa症候群を発症した症例を経験した。この不随意運動に対して,抗コリン薬の追加・増量,ビタミンEの追加や抗精神病薬の減量を試みたが変化なく,徐々に精神運動性興奮などの精神症状が顕在化した。薬物治療が困難であったため,修正型電気けいれん療法(modified electroconvulsive therapy;以下ECT)を施行したところ,精神症状の著しい改善とともにPisa症候群の軽減を認めたので,考察を加えて報告する。
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