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WPA2002横浜大会を通して感じたこと,考えたこと―会議の運営に参加して/精神医療と精神保健における文化的視点
著者: 太田龍朗123 江畑敬介4
所属機関: 1名古屋大学 2愛知淑徳大学 3北林病院 4江畑クリニック
ページ範囲:P.1235 - P.1237
文献購入ページに移動大会前日の8月5日の午後受付を済ませてから,メイン会場となるハンブルグ国際会議場(Congress Centrum Hamburg)に立ち寄ったが,展示会場などは,まだ器材が床に散乱し,工事に手がついたばかりの状態で,一瞬“間に合うのかしらん”と他人ごとながら心配になった。しかし,翌日の夕刻の開会式直前には,実にきれいにset-upされ,迎え入れの準備が完全に整っているのを目の当たりにして,それが杞憂であったことがわかった。開会式はメインホールで満員の各国会員の参加のもと盛大にとり行われた。なかでもホスト国であるドイツ精神医学会を代表したGaebel組織委員長の挨拶では,クレぺリンやヤスパースなど,ドイツ精神医学史に燦然と輝く多くの人々の名がその歴史とともに続々と登場し会場を圧倒した。ナチス時代にあったこの学会の不幸な一時期についても触れることを忘れず,被い隠すことなく懺悔と憂慮を込めて述懐する氏の演説は,聞く者の胸を打つものがあったが,このとき同時に筆者の胸に少なからぬ不安がわいた。9千余名の会員を擁しながら,年次学術集会に参加する者が毎年千名を越えるか越えないかといった状態にある日本精神神経学会が,host societyとして次回の大会でこのドイツのように一丸となって堂々と機能することができるだろうか。年次集会の数倍もする会費を払ってはたして会員は参加をしてくれるのだろうかなどなど……。
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