文献詳細
書評
―ベン・ポリス著/山本俊至訳―ぼくは,ADHD!―自分を操縦する方法 フリーアクセス
著者: 中根晃1
所属機関: 1横浜市西部地域療育センター
ページ範囲:P.1240 - P.1240
文献概要
徴候は2歳前後に現れており,3歳すぎから好奇心のままに,また,独りで頭に乗って大騒ぎを繰り返し,大事を起こしている。LD(学習障害)の部分としては国語・算数が苦手で,単語は意味を想い浮かべるだけで発音できなかった。ofの綴りをovと書いたりしていたが,先生が一つ一つ辛抱強く読み方を教えてくれ,基礎単語を憶えてからは急速に進歩して集中して読めるようになったと記している。2回目の退学後の新しい学校での5年生もピエロのように振舞い,みんなに注目されるのが好きで“受け”を狙っていろいろと問題を起こした。フットボールを楽しむようになると,両親や先生への怒りを走り回ることで解放したこともあって学業成績も伸びたが,6年生では行動が悪化して友だちや両親,姉への攻撃が続いた。すでに8歳の時にADHDと診断されているが,12歳の時にmethylphenidateを処方され,認知行動療法について教わり,衝動性や怒り,集中力のなさを克服するために自分自身をコントロールすることを学ばねばならないことを知った。8年生になって200m競争を始め,次々とスポーツ競技で勝ち,みんなから敬服されるようになってからはトラブルを起こさず,成績も平均点をとった。
掲載誌情報